TOYNOVA for HR記事一覧へ戻る
記事組織開発・カルチャー変革

危機のとき、組織は何を頼りにできるのか。HISのパーパス策定から考える

事業環境が大きく変わるとき、社員が立ち返れる共通の判断軸をどうつくるか。コロナ禍でパーパス策定に取り組んだHISの事例から、組織の土台を見直す意味を考える。

事業が止まる。働く場所が変わる。昨日まで当たり前だった仕事の前提が、急に揺らぎ始める。

そのとき、組織は何を頼りにできるのか。

HISがパーパス策定に取り組んだ背景の一つには、コロナ禍による旅行事業への大きな打撃があった。事業そのものが停滞し、特別休業や在宅勤務、グループ外への出向など、社員の働き方も大きく変化した。社員にとっても、会社にとっても、先行きの見えない時期だった。

この局面で課題になったのは、新しいスローガンを作ることではない。長い歴史と事業拡大のなかで複雑になっていた理念体系を整理し、グループとして目指すべき方向性を明確にすることだった。

株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長の矢田素史氏は、15年ぶりに本社に戻ったとき、グループの精神基盤を再構築する必要性を感じたと振り返る。事業が分かれ、働く場所が変わっても、同じ会社の一員として何を大切にするのか。その問いが、パーパス策定の出発点になった。

危機のとき、組織には即効性のある答えが求められる。しかし、短期の打ち手だけでは、社員が次の判断をする際の軸にはなりづらい。むしろ必要なのは、何度も立ち返れる共通の土台かもしれない。

パーパスは、きれいな言葉として掲げるだけなら、現場の仕事から遠いものになる。しかし、困難な状況下で「自分たちは何をする会社なのか」を問い直すものになれば、単なる理念の整理にとどまらない意味を持つだろう。

HISの事例は、パーパスを「危機を乗り越えるための一時的なメッセージ」ではなく、「組織をもう一度動かすための土台づくり」として捉える視点を与えてくれる。

自社に持ち帰る問い|編集部より

・事業環境が揺らいだとき、自社の判断軸として立ち返れる言葉はあるか。

・その言葉は、経営だけでなく現場の意思決定にも使える状態になっているか。

・理念や行動指針が増えすぎて、かえって組織の方向性が見えづらくなっていないか。

関連セッションのご案内

本記事は、申込者限定で10月14日(水)に配信予定のセッションより、HISがパーパス策定に向かった背景を中心に整理しました。配信では、パーパス策定時の葛藤、経営や現場の受け止め方についても語られています。

「HR NOVA SUMMIT ONLINE」は、この他にも人事・組織づくりの現在地を考える豪華セッションをご用意しています。気になる方は、視聴登録ボタンより、ぜひお申し込みください。

登壇者・出典

登壇者:矢田素史氏(株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長)、髙倉千春氏(高倉&Company合同会社 共同代表)。

モデレーター:三小田実氏(株式会社ヤプリ 執行役員CHRO/グロービス経営大学院 客員准教授)。

本記事は、2026年7月16日(木)に開催された「HR NOVA SUMMIT 2026 Summer」の基調講演「パーパスを掲げた。で、現場は動いたのか?」の内容から編集部が制作しています。

HR NOVA SUMMIT ONLINE

基調講演を映像で振り返る

2026年10月14日(水)配信予定。事前のお申し込みが必要です。

10月14日の配信に申し込む